「この別荘は、うちでは売却できません」
そう言われたとき、多くの方は物件に値が付かないのだと受け取ります。
私もそうでした。地元でいちばん大きな不動産会社に言われたので、そういうものだと思い込みました。
あとから分かったのは、あの言葉は「この会社では扱えない」という意味だったということです。
この記事では、断られる理由を5つに分けて整理します。
そのうえで、預かってもらえたのに動いていないだけなのかどうかを、自分で確かめる方法を書きます。
最後に、断られたあとに残っている選択肢を並べます。
相談者「この物件は売れません」とはっきり言われてしまって、もう打つ手がないのかと…



それは何社に言われましたか?



1社です。地元でいちばん大きいところなので、そこが無理ならと思って…



大きい会社ほど、別荘は扱わないことがありますよ。得意分野がまったく違うんです。
別荘の売却ができないと言われる、5つの理由


断り文句は同じでも、理由はまったく違います。大きく5つです。
- その会社が別荘を扱った経験がない
- 境界が未確定で、測量の費用と手間がかかる
- 再建築不可、または建築基準法の道路に接していない
- 管理費の滞納や、相続登記の未了がある
- そのエリアで買いたい人が実際に少ない
このうち物件そのものの問題は3番目と5番目だけです。
残りの3つは、会社の都合か、手続きで解けるものです。
仲介会社が別荘を扱った経験がない
いちばん多いのがこれです。
不動産会社は、扱う物件の種類ごとに得意分野が分かれています。
住宅地の分譲を扱ってきた会社に、山の中の別荘を持ち込んでも、いくらで出せば売れるのかの見当が付きません。
そして相場が読めない物件は、預かっても売れず、広告費だけがかかります。
だから断ります。これは物件の評価ではなく、会社の都合です。
別荘地の中に事務所を構えている会社や、リゾート物件を専門にしている会社なら、同じ物件でも答えが変わります。
境界が未確定で測量が必要
地積測量図が無く、現地に境界杭も見つからない土地です。
決済の前に測量を求められるので、その費用を誰が出すのかが問題になります。
土地家屋調査士会連合会の報酬アンケートでは、地積更正登記の報酬が平均390,316円です。
300万円の物件で40万円近い費用が乗ると、話がまとまりにくくなります。
ただし、これは値が付かないという意味ではありません。
現況のまま買い取る会社なら、測量そのものを求めません。
再建築不可、または接道していない
5つの中で、これだけは物件そのものの問題です。
建築基準法の道路に2メートル以上接していない土地には、建物を建て直せません。
バブル期に山林を分譲した別荘地では、この条件を満たしていない区画があります。
建て直せない土地は、住宅ローンが原則として使えません。
市町村の建築指導課に地番を伝えれば、接している道路の種別を教えてもらえます。電話でも答えてもらえることが多い項目です。
該当していた場合、仲介で買い手を探すのはかなり厳しくなります。
ただし、接していないと分かった時点で終わりというわけでもありません。
建築基準法には、道路に接していない土地でも建築を認めるための条文が用意されています。
建築基準法第43条第2項第2号です。
敷地の周囲に広い空地があるなど、特定行政庁が交通上・安全上・防火上・衛生上支障がないと認めて、建築審査会の同意を得て許可したものは、建て替えができます。
別荘地の中の道は私道であることが多く、幅は足りているのに建築基準法の道路として認められていないだけ、という区画がよくあります。
その場合は許可の対象になり得ます。
市町村の建築指導課に地番を伝えて、43条2項2号の許可を受けられる見込みがあるかを聞いてみてください。
実際に許可の実績がある道なら、担当者はその場で教えてくれます。
許可が見込めると分かれば、買い手の層は一気に戻ります。
再建築不可のままでも買う会社はありますが、提示額は下がります。
聞くだけなら電話1本です。売り出す前に確かめておいてください。
別荘の売却を断られたのは、その会社の都合かもしれません


ここからが本題です。
実は「断られた」のか「預かったまま動いていない」のかは、売主が自分で確かめられます。
媒介契約には3種類あって、専属専任と専任には法律上の義務が付いています。
| 媒介契約の種類 | レインズへの登録 | 業務の報告 |
|---|---|---|
| 専属専任媒介 | 契約の翌日から5日以内(休業日を除く) | 1週間に1回以上 |
| 専任媒介 | 契約の翌日から7日以内(休業日を除く) | 2週間に1回以上 |
| 一般媒介 | 義務なし | 義務なし |
専任で預けているのに2週間経っても報告が来ないなら、それだけで義務が果たされていません。
レインズの売主専用画面で、公開されているかを確かめる
さらに強いのが、レインズのステータス管理機能です。
専属専任か専任で契約すると、宅建業者から登録証明書が交付されます。
そこに書かれた確認用のIDとパスワードで売主専用画面に入ると、自分の物件がいまどの状態で登録されているのかが見られます。
状態は3つです。
- 公開中
- 書面による購入申込みあり
- 売主都合で一時紹介停止中
覚えがないのに「売主都合で一時紹介停止中」になっていたら、そこが止まっている場所です。
この状態だと、買主側の不動産会社は物件に問い合わせができません。
国土交通省の資料では、この機能が囲い込みの防止にも役立つと説明されています。
囲い込みは、自社で売主と買主の両方から手数料を取るために、他社への紹介を意図的に断る行為を指します。
令和7年1月からは、交付される登録証明書の二次元コードを読み取るだけで、売主専用画面に入れるようになりました。
値下げを提案される前に、まずここを見てください。



登録証明書というものを、受け取った記憶がありません



専任で契約したなら交付が義務づけられていますから、聞いてみる価値はありますよ。



聞きにくいのですが…



確認用のIDとパスワードをください、と言うだけです。私も最初は気が引けましたが、聞いてみたら普通に出てきました。
一括査定と買取は、別のものです
一括査定は、複数の不動産会社に「いくらで売れそうか」を出してもらう仕組みです。売るのは買い手が見つかってからなので、買い手がつかなければいつまでも売れません。別荘や別荘地は、この「買い手がつかない」で止まります。
買取は、業者が直接買い取ります。買い手を探す必要がないので、その場で終わります。価格は仲介で売れた場合より下がりますが、売れない物件にとっては比較対象が「売れない」なので、実質的な損は出ません。
| 一括査定 | 買取 | |
|---|---|---|
| 相手 | 個人の買い手 | 買取業者 |
| 期間 | 数か月〜売れるまで | 数日〜数週間 |
| 価格 | 相場に近い | 相場より下がる |
| 売れない物件 | 止まる | 引き取れる場合がある |
別荘の売却ができないと言われた人が、その後どうしたか?
断られたあとにたどる道は、だいたい4つに分かれます。
| 断られた理由 | その後にしたこと | 結果 |
|---|---|---|
| 会社に別荘の経験がない | 別荘地に事務所がある会社に持ち込んだ | 扱えると即答された |
| 境界が未確定 | 現況のまま買い取る会社を探した | 測量せずに引き渡した |
| 管理費の滞納がある | 管理会社に連絡し、精算の見込みを立てた | 滞納を整理してから売りに出した |
| 相続登記が済んでいない | 司法書士に依頼して名義を移した | そのうえで査定を取り直した |
| 再建築不可 | 別荘地・山林を専門に扱う買取業者に相談した | 土地として引き取られた |
| エリアに買い手が少ない | 仲介をやめて買取に切り替えた | 日付を決めて終わらせた |
共通しているのは、断った会社と違う相手に持ち込んでいる点です。
同じ会社に何度も相談しても、答えは変わりません。
扱えない理由がその会社の中にあるからです。
そして、断られた理由を聞いておくと次の相手が決まります。
「うちでは扱えない」で会話を終わらせず、「物件のどこが問題ですか」と一言聞いてください。
境界だと言われたら現況買取へ、経験が無いと言われたら別荘に強い会社へ。
次に持ち込む先が、その答えで決まります。
売却できない別荘に残っている選択肢
それでも仲介では動かないと分かったときに、残っているのは次の4つです。
- 買取業者に現況のまま引き取ってもらう
- 使う予定のある知人や隣地の所有者に譲る
- 建物を解体して、更地として売る
- 相続した土地なら、相続土地国庫帰属制度を調べる
持ち出しがいちばん少ないのは1番目です。
仲介手数料がかからず、測量も求められず、査定から決済まで1か月から3か月で終わります。
下の2つは、買い手が決まる前に解体費を払う順番になります。
売れない別荘で解体を先にすると、更地でも買い手が現れなかったときに、解体費だけが戻らずに残ります。
だから順番として、建物付きのままいくらで引き取ってもらえるのかを先に聞いてください。
ここから先は、実際に手放すための窓口です。査定や相談は無料で、申し込んだからといって売らなければならない義務はありません。金額を見てから決めて問題ありません。
ただし、物件の場所・面積・管理費の滞納の有無は、最初に正確に伝えてください。後から出てくると話が止まります。
まとめ 別荘の売却ができないのと、値が付かないのは別の話です
「売却できません」と言われても、それは1社の答えでしかありません。
断られる理由5つのうち、物件そのものの問題は再建築不可とエリアの2つだけです。
残りは会社の得意分野の話か、手続きで解けるものです。
そして預かってもらえたのに動いていないだけなら、それも自分で確かめられます。
専任なら2週間に1回の報告義務があり、レインズの売主専用画面で自分の物件が公開中になっているかを見られます。
覚えのない「一時紹介停止中」になっていたら、値下げより先にそこを直してください。
そのうえで、断った会社に「物件のどこが問題ですか」と聞いてください。その答えが、次に持ち込む相手を決めてくれます。
値下げの前に確かめる5点は 売れない別荘を処分するなら、値下げより先にやることがあります、買取でいくらになるのかは 別荘の買取業者は、売れない物件をいくらで引き取ってくれるのか? に書いています。





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