別荘の売却で手元にいくら残るのか?相場と税金を実額で出します

森の中に建つ高床の別荘。別荘の手取りは売値の半分です

親が買った別荘を相続した。あるいは自分で買ったけれど、もう何年も足を運んでいない。

そろそろ売ろうかと思って検索してみると、出てくるのは「別荘は高く売れます」という不動産会社のページばかりです。

ただ、あなたが知りたいのは別荘の相場の高さではないはずです。

別荘を売ったときに手元にいくら残るのか。そして、管理費と固定資産税を払い続けるのと比べて、本当に売ったほうが得なのか。この2点だと思います。

そこでこの記事では、売却価格から引かれるものを1つずつ数えて、手取りの実額まで出してしまいます。

たとえば300万円で売れたとき、1,000万円で売れたときの金額をお伝えしますし、買い手がつかずに別荘を持ち続けたときにどれくらいの負担があるのか?これも書きます。

先に結論をお伝えしておくと、別荘の売却は、価格そのものよりも「引かれるもの」で手取りが決まります。

土地の測量が必要になるかどうか。建物を壊してから売るか、残したまま売るか。そして、親がいくらで買ったのかを示す資料が残っているかどうか。

この3点で、手取りは100万円単位で動いてしまいます。

相談者

父が軽井沢に持っていた別荘を相続しました。相場を調べたら1,000万円くらいらしいので、てっきりそれがそのまま入ってくるものだと思っていたのですが…

案内人

そこは分けて考えたほうがいいですね。1,000万円で売れたとしても、実際に手元に残るのは700万円台になることが多いですよ。

相談者

えっ、300万円近くも引かれてしまうんですか?

案内人

はい。仲介手数料と登記費用、それから譲渡所得税。この3つでほとんどです。順番に見ていきましょうか。

その1社が「無理」と言っただけかもしれません。別荘を売った経験のある会社は、そう多くない。

別荘を扱える会社は、限られています

都市部のマンションに強い会社、地元の一戸建てに強い会社、リゾート物件を専門に扱う会社、訳アリ物件だけを買う会社。得意分野がまったく違うので、同じ別荘でも会社によって査定額に数百万円の差が出ますし、そもそも「扱えない」と断られることもあります。

地元の1社に相談して断られただけで、売れない物件だと決めつけている方が本当に多い。断ったのはその会社であって、別荘そのものに値が付かないと決まったわけではありません。

目次

別荘の売却価格から引かれるもの

軽井沢の新緑と苔に囲まれた別荘地の並木道
売り出す前でも、手元にいくら残るかはほとんど計算できる

まず押さえておきたいのは、売却価格がそのまま入ってくることはない、ということです。

ただ、引かれるものの中身自体は決まっていますから、ほとんどは売り出す前に計算できてしまいます

引かれるもの金額根拠
仲介手数料売却価格の3%+6万円+消費税宅建業法の報酬告示。これが上限
印紙税1,000円〜1万円印紙税法。売買契約書に貼る
土地地積更正登記平均 390,316円(中央値372,584円)土地家屋調査士会連合会の報酬アンケート
土地分筆登記平均 422,909円(中央値403,765円)同上。土地を分けて売る場合
建物滅失登記平均 48,098円(中央値47,500円)同上。解体後に必要
解体工事費見積もりによる建物の構造・搬出路・残置物で変わる
譲渡所得税利益の20.315%または39.63%所得税法。所有5年超で20.315%
抵当権抹消2万〜3万円司法書士に頼んだ場合
土地家屋調査士の報酬は2022年度アンケートの全国平均・税抜。実費(交通費・境界杭代など)は別

いま挙げた費用のうち、別荘のときにやたらと効いてくるのが、測量まわりの費用と解体費です。

市街地の家であれば境界はたいてい確定しています。ところが別荘地は分譲から数十年たっているところが多く、境界杭が見つからない土地が本当に珍しくありません。

別荘の売却で手取りはいくらになるか?3パターンで計算します

では実際に数字を入れていきます。

前提は、相続した別荘で、親がいくらで買ったのかを示す資料が残っていない場合です。いちばん多く、しかも税額がふくらむパターンなので、ここを基準にしました。

1,000万円で売れた場合

項目金額
売却価格10,000,000円
仲介手数料△363,000円
印紙税△10,000円
土地地積更正登記(平均)△390,316円
登記に伴う実費・雑費△50,000円
譲渡所得税(取得費5%で計算)△1,764,600円
手取り7,422,084円
1,000万円で売れた別荘の手取り742万円までの内訳
1,000万円で売れても、引かれるものを差し引くと742万円になる

残るのは売却価格の約74%です。

譲渡所得税だけで176万円と、やけに大きく見えると思います。これは取得費が分からないせいで、売却価格の5%しか経費に入れられないからです。

たとえお父さまが3,000万円で買っていたとしても、その契約書が出てこなければ、税金の世界では50万円で買ったものとして扱われてしまいます。

300万円で売れた場合

項目金額
売却価格3,000,000円
仲介手数料△165,000円
印紙税△1,000円
土地地積更正登記(平均)△390,316円
登記に伴う実費・雑費△50,000円
譲渡所得税(取得費5%で計算)△455,800円
手取り1,937,884円
300万円で売れた別荘の手取り194万円までの内訳
登記の費用は売却価格に関係なく同じ額かかるので、価格が低いほど手取りの比率が落ちる

こちらは約65%しか残りません。

登記の費用は売却価格が高かろうが安かろうが同じ額かかりますから、価格が下がるほど、手取りの比率はどんどん落ちていきます

300万円の物件で地積更正登記が必要になると、それだけで売却価格の13%が消えてしまう計算です。

別荘が売れないまま持ち続けた場合

そして、売れないまま別荘を持ち続けるのが、実はいちばん多いパターンです。

売っていないので手取りはもちろんゼロですが、別荘にかかるお金のほうは止まってくれません。

金額は物件ごとにまるで違うので、ここでは何が出ていくのかだけを並べておきます。実額は、お手元の納税通知書と管理会社の請求書で確かめてみてください。

  • 別荘地の管理費(管理会社に毎年払う。所有面積に比例する方式が多い)
  • 固定資産税・都市計画税(毎年)
  • 水道の基本料金(使っていなくても発生する)
  • 火災保険料
  • 現地に行くための交通費

別荘の固定資産税は、同じ評価額の自宅より高くなります

別荘の固定資産税については、意外と知られていないことがあります。

住宅が建っている土地には住宅用地の特例というものがあって、200㎡までは課税標準が6分の1になります。ところが別荘用地には、この特例が適用されません

自治体の説明を読むと、特例の対象になるのは「特定の者が毎月1日以上、またはこれと同程度の居住の用に供している」家屋の敷地とされています。

年に数回しか行かない別荘は、残念ながらここに当てはまりません。

どうしても特例を受けたいのであれば、毎年1月31日までに利用状況を申告する必要があり、電気・ガス・水道のいずれか12か月分の使用実績を出すことになります。

申告しなければ、その年度分に特例は付きません。

つまり行かなくなった別荘ほど、土地の固定資産税は高いまま据え置かれるわけです。使っていないのだから安くなるだろう、という方向には働いてくれません。

しかも、いま挙げた管理費・固定資産税・水道の基本料金・火災保険料は、別荘を持っている限り毎年出ていきます。

そしてその間にも建物は着実に古くなって、売れる可能性はさらに下がっていきます

300万円で売ったときの手取り193万円が安く感じられたとしても、比べる相手はゼロではなく、この出ていき続けるお金のほうです。

使っていなくても管理費は止まりません

別荘地の管理費も、リゾートマンションの管理費・修繕積立金も、所有している限り発生します。使っていないから払わない、という理屈は通りません。管理組合や管理会社は所有者に対して請求する権利を持っていて、滞納が続けば法的手続きに進みます。

そして区分所有法により、滞納された管理費は次の買主が引き継ぎます。だから滞納があると買い手はさらに見つかりにくくなり、滞納が増える。この循環に入ると、時間が経つほど手放しにくくなります。

別荘の取得費が分からないと、売却の税金が跳ね上がります

譲渡所得税は「売却価格 − 取得費 − 譲渡費用」に対してかかります。

この取得費が分かるかどうかだけで、税額は数十万円から数百万円も変わってしまいます。

相続した別荘でいちばん多いのが、親がいくらで買ったのか、もう誰にも分からないというケースです。

契約書が見つからない場合、税法上は売却価格の5%を取得費とみなして計算することになります。

1,000万円で売れば取得費は50万円。差額950万円が、実にまるごと課税対象になってしまいます。

実際にはお父さまが2,000万円で買っていたのなら、売却益はマイナスで、本来なら税金はゼロのはずです。

資料が無いというだけで、払わなくていい税金を払うことになってしまいます。

購入時の契約書が無いときに使える資料

購入したときの契約書が見つからない場合、売った金額の5パーセント相当額を取得費とすることができます

裏を返すと、それ以上は差し引けません。1,000万円で売れば、取得費として認められるのは50万円だけです。

だから売る前に、購入価格を裏づけられるものを探してください。

  • 購入時の売買契約書
  • 購入時の住宅ローンの金銭消費貸借契約書(借入額から逆算できる)
  • 購入代金を振り込んだ通帳や、当時の預金取引の記録
  • 登記事項証明書に残っている抵当権の債権額
  • 分譲当時のパンフレットや価格表
  • 購入した不動産会社に残っている取引記録

どこまで認められるかは税務署の判断になります。金額が大きいときは、申告の前に相談してください。

ただ、税務署が認めてくれるかどうかは個別の判断になりますので、金額が大きいときは、動く前に税理士に確認してください

10万円の相談料で100万円の税金が変わるのなら、聞かないほうがもったいない話です。

別荘の売却で測量が必要かどうかは、先に確かめてください

別荘地の売却が途中で止まってしまう原因の上位が、境界です。

隣地との境界杭が見当たらない。私道の持分が整理されていない。そもそも現地に立っても、自分の土地がどこからどこまでなのか分からない。

こうした土地は、買い手がついても決済の前に必ず測量を求められます。

売る前に確認する4つ
  • 登記簿に地積測量図が付いているか(法務局で確認できる)
  • 現地に境界杭が残っているか
  • 前面道路が公道か私道か。私道なら持分があるか
  • 上下水道が来ているか。井戸や浄化槽なら、その状態

地積測量図・境界杭・道路の権利・上下水道の4つが揃っていれば、測量にお金をかけずに済みます。

逆に1つでも欠けていると、地積更正登記でおよそ39万円を見ておく必要が出てきます。売り出す価格を決める前に、ここだけは確かめておいてください。

相談者

境界杭…そもそも見に行ったことがないので、あるのかどうかも分かりません

案内人

地積測量図が登記簿に付いているかどうかなら、法務局で600円で確認できますよ。現地に行く前に、まずそこから調べるのがおすすめです。

相談者

それで付いていなかったら、50万円くらいかかると覚悟しておけばいいんですね

案内人

そうですね。ただ、測量までして売るのか、そのまま買い取ってもらうのかは、金額を見てから決めても遅くありませんよ。

一括査定と買取は、別のものです

一括査定は、複数の不動産会社に「いくらで売れそうか」を出してもらう仕組みです。売るのは買い手が見つかってからなので、買い手がつかなければいつまでも売れません。別荘や別荘地は、この「買い手がつかない」で止まります。

買取は、業者が直接買い取ります。買い手を探す必要がないので、その場で終わります。価格は仲介で売れた場合より下がりますが、売れない物件にとっては比較対象が「売れない」なので、実質的な損は出ません。

一括査定買取
相手個人の買い手買取業者
期間数か月〜売れるまで数日〜数週間
価格相場に近い相場より下がる
売れない物件止まる引き取れる場合がある

売れる別荘と、売れない別荘の分かれ目

ここまでは「売れた場合」の話をしてきました。

ただ正直に言うと、別荘はそもそも買い手がつかないことのほうが多い不動産です。そして、その分かれ目はかなりはっきりしています。

売れやすい売れにくい
エリア軽井沢・那須の一部・八ヶ岳の南麓バブル期に大量分譲された高原の奥
道路公道に接している私道。持分が整理されていない
インフラ上下水道が引かれている井戸・浄化槽・汲み取り
建物築30年以内、または更地築40年以上で雨漏りがある
管理管理会社が機能している管理会社が撤退した、または管理費滞納あり
通年でアクセスできる冬期は道路が閉鎖される

右側に丸が付く数が増えるほど、仲介での成約は遠のきます。

値下げしたところで結果は変わらないことが多いです。そもそも買いたい人がいない場所では、価格を下げても買いたい人は現れてくれません

とはいえ、この判定を自分だけでやるのは正直かなり難しいと思います。

そのうえ地元の不動産会社1社に聞いても、返ってくる答えは「うちでは扱えません」で終わってしまうことが多い。

それがその会社の都合なのか、それとも物件そのものの問題なのかは、1社に聞いただけでは分からないままです。

別荘を手放すまでの手順と、かかる期間

  1. 登記簿を取って、地積測量図と抵当権を確認する(法務局・600円)
  2. 固定資産税の納税通知書で、評価額と面積を確認する
  3. 管理費の滞納が無いか、管理会社に確認する
  4. 複数の会社に査定を出して、金額と「扱えるかどうか」を確認する
  5. 媒介契約を結ぶ(一般媒介なら複数社に同時に依頼できる)
  6. 買い手が現れたら、境界確認と測量
  7. 決済・引き渡し
  8. 翌年の2月16日〜3月15日に確定申告

仲介で無事に売れる場合で、査定から決済までおよそ4か月から1年を見ておいてください。

冬期に道路が閉鎖されるエリアだと、そもそも内見ができないので春まで話が止まります。

「今年中に手放したい」とお考えなら、遅くとも夏までには動き出しておきたいところです

ここから先は、実際に手放すための窓口です。査定や相談は無料で、申し込んだからといって売らなければならない義務はありません。金額を見てから決めて問題ありません。

ただし、物件の場所・面積・管理費の滞納の有無は、最初に正確に伝えてください。後から出てくると話が止まります。

その1社が「無理」と言っただけかもしれません。別荘を売った経験のある会社は、そう多くない。

断られたのは、その1社だけの判断です

媒介契約を結んでしまう前に、ほかの会社がいくらを付けるか見ておいてください。入力は一度、最短60秒。費用はかかりません。

査定額を見てから、売るか、買取に回すか、持ち続けるかを決めれば十分です。

まとめ 別荘の売却で手元に残るのは6割から7割です

別荘を売って手元に残るのは、だいたい売却価格の6割から7割です。

引かれるものの中身は仲介手数料と登記まわりの費用、そして譲渡所得税です。このうち登記の費用は売却価格に関係なく同じ額かかりますから、価格が低い物件ほど手取りの比率が下がってしまいます。

売り出す前に押さえておきたいのは、実のところ2点だけです。

登記簿に地積測量図が付いているかどうか。そして、親がいくらで買ったのかを示す資料が残っているかどうか。この2点の答えで手取りが100万円単位で変わってきます。

そのうえでお願いしたいのは、査定を1社で終わらせないことです。

別荘を実際に売った経験のある会社は、そう多くありません。1社に断られたということと、その別荘に値が付かないということは、まったく別の話です。

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この記事を書いた人

管理もできず、税金だけがかかることから、所有していた別荘が不要になりました。このサイトでは、私が別荘を売却した経験からコンテンツを作成しています。最初に相談した不動産屋からは「売れない」と言われて途方に暮れていたのですが、最終的には手放すことに成功しています。

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