別荘を手放そうかと考えはじめたとき、たいていの方が同じことを思います。
「うちだけが売りたがっているわけではないはずだ。ほかの人は、どういう理由で手放しているんだろう」
この感覚は正しくて、別荘を手放す人は、実際にかなりの数にのぼります。
総務省の住宅・土地統計調査によると、別荘などの二次的住宅は2003年の49万8千戸をピークに減り続けていて、2023年には38万4千戸まで落ちています。
20年で11万戸以上が別荘であることをやめた計算です。

この記事では、別荘を手放す理由として多いものを並べたうえで、理由ごとに向いている手放し方が違うことを書きます。
そして、手放さずに持ち続けた場合に毎年いくら出ていくのかも、実際の管理費の金額で示します。
相談者父が残した別荘なんですが、正直まだ迷っていて…みなさん、どういうきっかけで売る決心をされるんでしょうか?



きっかけは人それぞれですが、決め手になるところは似ています。ほとんどの方が、行かなくなってから何年か経って動きはじめますね。



うちも、もう5年は行っていません



その5年ぶんの管理費と固定資産税を合わせると、けっこうな金額になっていると思いますよ。まずはそこを見てみましょうか。
別荘を手放す理由で多いのは、この5つです
私が自分の別荘を手放すまでに、同じ別荘地で実際に耳にしたのは、次の5つです。
- 親から相続したが、自分は思い入れがない
- 体力的に、別荘まで通えなくなった
- 管理費と固定資産税の負担が重くなった
- 子どもに引き継ぐつもりがない
- 建物が傷んできて、直す費用のほうが高くつく
この5つのうち、上の3つが飛び抜けて多いので、順番に見ていきます。
親から相続したが、行ったことがない


いちばん多いのが、この形です。
親が元気だったころに家族で通っていた別荘を、相続で引き継いだ。けれど自分の生活の拠点は都市部にあって、片道3時間かけて行く動機がない。
この場合、持ち主は建物にも土地にも思い入れがありません。
それでも売らずに残ってしまうのは、手続きが分からないからです。相続登記が済んでいない、鍵の場所が分からない、管理会社の連絡先を親しか知らなかった。
つまり売りたくないのではなく、どこから手をつければいいのか分からないまま年が過ぎている状態です。
体力的に別荘まで通えなくなった
自分で買った方に多いのが、この理由です。
50代で買って、20年通った。けれど70代に入って、高速道路を3時間運転するのがつらくなった。
別荘地は坂の途中にあることが多く、敷地の中の階段や外階段が、そのまま行かなくなる理由になります。
この理由で手放す場合、建物の状態は比較的いいことが多いです。
通えなくなる直前まで使っていたので、雨漏りも残置物もない。この差は査定額にはっきり出ます。
管理費と固定資産税が負担になった
そして、最後の一押しになるのがお金です。
別荘地の管理費は、行かなくても毎年かかります。金額は別荘地ごとにまったく違います。
那須で複数の分譲地を扱う管理会社が、各分譲地の管理費を公開しています。そこから抜き出すと、こうなります。
| 分譲地 | 土地の管理費 | 建物・水道など |
|---|---|---|
| A | 年額20,000円/区画(600㎡まで) | 水道維持費 年額48,000円/口 |
| B | 年額8,800円/区画+40円/㎡ | 水道使用料 年額28,800円 |
| C | 年額23,000円/区画+19円/㎡ | 水道加入金 20万〜50万円 |
| D | 年額84,000円(税込) | メーターボックス費 年額28,350円 |
| E | 70円/㎡/年+消費税 | 建物共益管理費 年額88,200円 |
| F | 年額24,000〜36,000円/区画 | 建物管理費 年額48,000円/戸 |
| G | 基本管理料 年額8,400円+地積管理料40円/㎡ | - |
| H | 組合費 年額6,000円 | 水道維持費 年額10,000〜25,000円 |
| I | 年額16,000〜78,750円(面積・建築状況による) | - |
別荘地の管理費は、同じ地域の中でも10倍以上の開きがあります。
那須で複数の分譲地を扱う管理会社が、9つの分譲地の管理費を公開しています。
そこでは年6千円のところから、土地と建物を合わせて15万円を超えるところまで並んでいます。
ここに固定資産税が乗ります。
しかも別荘の土地には住宅用地の特例が使えないので、同じ評価額の自宅と比べて、土地の固定資産税は高くなります。
行かない年が続くほど、この負担だけが積み上がっていきます。
使っていなくても管理費は止まりません
別荘地の管理費も、リゾートマンションの管理費・修繕積立金も、所有している限り発生します。使っていないから払わない、という理屈は通りません。管理組合や管理会社は所有者に対して請求する権利を持っていて、滞納が続けば法的手続きに進みます。
そして区分所有法により、滞納された管理費は次の買主が引き継ぎます。だから滞納があると買い手はさらに見つかりにくくなり、滞納が増える。この循環に入ると、時間が経つほど手放しにくくなります。
別荘を手放さずに持ち続けた人が、後悔したこと
私自身が売り終えたあとに、何度も思ったことがあります。
「もっと早く動いていればよかった」
理由は3つあって、どれも時間が経つほど不利になるものばかりです。
建物が傷んで、値段が付かなくなった
人が出入りしない建物は、驚くほど早く傷みます。
換気されないので湿気がこもり、雨漏りに気づくのが遅れ、シロアリが入っても誰も見ていません。
築30年で手放していれば建物に値が付いたものが、築40年になると建物の価値がゼロどころか、解体費のぶんマイナスになります。
管理費を滞納して、売るときに精算を求められた
行かない別荘の請求書は、開封されずに溜まりがちです。
管理費の滞納があると、売却のときに滞納分の精算を求められます。
買い手からすれば、滞納を引き継ぐ話になるので当然の要求です。
数年分が一括で出ていくことになり、手取りがさらに減ります。
相続人が増えて、話がまとまらなくなった
これがいちばん厄介です。
持ち主が亡くなって、兄弟3人の共有になった。そのうち1人も亡くなって、その子どもたちに権利が移った。
こうなると売るには全員の同意が要ります。
顔を合わせたこともない親族に連絡を取り、実印をもらって回ることになります。
先延ばしにして得をすることが1つも無いのは、この3つが理由です。
別荘を手放す理由と、選ぶべき方法の対応
手放し方は1つではありません。
そしてどの方法が向いているかは、手放したい理由によって変わります。
| 手放したい理由 | 向いている方法 | 理由 |
|---|---|---|
| 相続したが思い入れがない | 仲介で売却 | 急いでいないなら、時間をかけて買い手を探せる |
| 通えなくなった(建物は良好) | 仲介で売却 | 状態がいいので値が付きやすい |
| 管理費の負担を止めたい | 買取 | 日付が読めるので、支払いが止まる時期が決まる |
| 建物が傷んでいる | 買取 | 仲介では買い手が現れないことが多い |
| 相続人が増えそう | 早めに売却 | 1人でも増えると手続きが重くなる |
| 別荘地・山林だけが残っている | 買取または引き取り | 建物が無い土地は仲介の対象になりにくい |
この表で覚えておいてほしいのは1点だけです。
急いでいないなら仲介、支払いを止めたいなら買取。
両者の違いは価格ではなく、いつ終わるかが読めるかどうかです。
一括査定と買取は、別のものです
一括査定は、複数の不動産会社に「いくらで売れそうか」を出してもらう仕組みです。売るのは買い手が見つかってからなので、買い手がつかなければいつまでも売れません。別荘や別荘地は、この「買い手がつかない」で止まります。
買取は、業者が直接買い取ります。買い手を探す必要がないので、その場で終わります。価格は仲介で売れた場合より下がりますが、売れない物件にとっては比較対象が「売れない」なので、実質的な損は出ません。
| 一括査定 | 買取 | |
|---|---|---|
| 相手 | 個人の買い手 | 買取業者 |
| 期間 | 数か月〜売れるまで | 数日〜数週間 |
| 価格 | 相場に近い | 相場より下がる |
| 売れない物件 | 止まる | 引き取れる場合がある |
別荘を手放すと決めてから、実際に終わるまでの期間
決めてから引き渡しまで、思っているより時間がかかります。
| 方法 | 査定から引き渡しまで | 止まりやすいところ |
|---|---|---|
| 仲介 | 4か月〜1年 | 買い手待ち。冬期閉鎖のエリアは春まで内見できない |
| 買取 | 1か月〜3か月 | 相続登記が済んでいない場合 |
| 無償譲渡 | 期間が読めない | もらう側にも費用がかかるので、相手が見つからない |
ここで手続きが長引く原因になるのが、相続登記が済んでいないケースです。
2024年4月から相続登記は義務になりましたが、それ以前に相続した別荘は手つかずのまま残っています。
名義が亡くなった親のままだと、売買契約の前に登記を通す必要があります。
戸籍を遡って集めるところから始まるので、ここだけで数か月かかることがあります。
手放すと決めたら、査定より先に登記簿を取ってください。



登記のことは、まったく確認していませんでした



法務局で600円あれば取れますよ。名義が誰になっているかを見るだけでも、動き出しの早さが全然違います。



それを見てから査定に出したほうがいいんですね



同時に進めて構いません。ただ、名義が親のままだと売れないことは、先に知っておいてください。
別荘地だけを手放す場合は、話が変わります
建物を解体したあとの土地や、そもそも建てなかった別荘地だけが残っている場合です。
この場合、仲介では動かないと考えたほうがいいです。
理由は買い手の数にあります。
- 建物付きなら「別荘が欲しい人」が買い手になる
- 更地だと「これから別荘を建てたい人」しか買い手にならない
- 後者は前者より、はるかに数が少ない
建物を解体しても、管理費がゼロになるわけではありません。
別荘地の管理費は土地の分と建物・水道の分に分かれていて、土地の分は建物が無くてもかかり続けます。
道路の維持や除雪、ごみの集積所の管理は、区画を持っている限り必要になるからです。
那須の管理費の表でも、土地だけで年8,400円から8万円近くまで幅がありました。
建物が無いぶん出ていく金額は減りますが、ゼロにはなりません。
別荘地・山林・原野を扱う買取業者は、こうした土地を専門に引き取っています。
仲介で1年待って動かなかった土地でも、買取なら日付が決まります。
ここから先は、実際に手放すための窓口です。査定や相談は無料で、申し込んだからといって売らなければならない義務はありません。金額を見てから決めて問題ありません。
ただし、物件の場所・面積・管理費の滞納の有無は、最初に正確に伝えてください。後から出てくると話が止まります。
まとめ 別荘を手放す理由は、たいてい途中で変わります
別荘を手放す理由として多いのは、相続・体力・管理費の3つです。
そして自分で売ってみて分かったのは、最初は「使わないから」だった理由が、時間が経つと「負担だから」に変わっていくことです。
使わないだけなら、まだ選べます。傷む前に売る、更地にして売る、時間をかけて買い手を待つ。
けれど負担になってからでは、建物が傷み、管理費が溜まり、相続人が増えて、選べる手が減っていきます。
いま迷っている段階なら、それはまだ選べる側にいるということです。登記簿を1通取って、名義と地積測量図の有無を確かめるところから始めてみてください。
手放したあとに手元にいくら残るのかは、別荘の売却で手元にいくら残るのか?相場と税金を実額で出します に金額で書いています。







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