売り出して半年。内見の申し込みが1件も入らない。
担当者から「もう少し価格を下げてみましょうか」と言われて、そのとおりにした。
それでも動かない。
私も同じ道を通りました。300万円で出して、250万円に下げて、200万円まで下げて、それでも1件も来ませんでした。
あとから分かったのは、値段が理由で止まっていたのではないということです。
買いたい人は、値段を見る前に別のところで引き返していました。
この記事では、値下げの前に確かめるべき5点を先に並べます。
そのうえで、売れない別荘の処分方法を費用が安い順に並べ、放置した場合に行政が動くのかどうかも国の指針で確かめます。
相談者3回値下げしたのですが、問い合わせが1件も入りません…



値段ではないところで止まっている可能性が高いですね。境界と道路は確認されましたか。



いえ、そこは何も…



買う側は、住宅ローンが使えるかどうかをまず見ます。そこで落ちていると、値段をいくら下げても来ません。
売れない別荘を処分する前に、確認する5つ
値下げの前に確かめてほしいのは、次の5点です。
- 境界が確定しているか
- 前面道路が公道か私道か
- 上下水道が来ているか
- 管理費の滞納が無いか
- いま同じ建物を建て直せるか
どれも自分で、しかも数百円から数千円で調べられます。順番に見ていきます。
別荘の境界が確定しているか?


最初に見るのは、登記簿に地積測量図が付いているかどうかです。
法務局で600円あれば確認できます。オンラインでも取れます。
図面が無く、現地に境界杭も見つからない土地は、決済の前に測量を求められます。
土地家屋調査士会連合会の報酬アンケートでは、地積更正登記の報酬が平均390,316円、中央値372,584円です。
300万円の別荘で40万円近い費用が乗ると、買う側は他の物件を選びます。
値段ではなく、この40万円を誰が出すのかが決まらないせいで止まっていることがあります。
前面道路が公道か私道か?


次に道路です。これは公図と現地で確認します。
私道の場合、その私道の持分を持っているかどうかが決定的に効きます。
持分が無いと、水道管を引き直すときや建て替えのときに、他の所有者全員の承諾が要ります。
承諾が取れる保証が無い物件に、買い手はお金を出しません。
別荘地では、道路が管理会社の名義になっていることもあります。
その場合は通行と掘削の取り決めがあるはずなので、管理会社に書面の有無を聞いてください。
上下水道が来ているか?


本管が来ているか、井戸と浄化槽かで、買い手の数が変わります。
井戸と浄化槽の物件は、買った側に維持の手間と費用が続きます。
そして金融機関によっては、住宅ローンの対象から外れます。
現金で買える人だけが買い手になるので、母数が一気に小さくなります。
ここは変えようがないので、分かった時点で仲介にこだわるのをやめる判断材料にしてください。
別荘の管理費に滞納が無いか?
管理会社に電話1本で分かります。
滞納があると、引き渡しのときに全額を精算することになります。
引き継ぐのは買主なので、精算を求められて当たり前だと考えてください。
値下げを渋っているうちに、それより重い金額が精算の形で出ていきます。
そして意外に多いのが、滞納していること自体を知らないまま売りに出しているケースです。
請求書は別荘の住所に届いていて、誰も開けていません。
いま同じ建物を建て直せるか?
最後が再建築の可否です。ここが5つの中でいちばん重い項目です。
建築基準法の道路に2メートル以上接していない土地には、建物を建て直せません。
バブル期に山林を分譲した別荘地では、この条件を満たしていない区画があります。
建て直せない土地は、住宅ローンが原則として使えません。
市町村の建築指導課に地番を伝えれば、接している道路の種別を教えてもらえます。電話でも答えてもらえることが多い項目です。
一括査定と買取は、別のものです
一括査定は、複数の不動産会社に「いくらで売れそうか」を出してもらう仕組みです。売るのは買い手が見つかってからなので、買い手がつかなければいつまでも売れません。別荘や別荘地は、この「買い手がつかない」で止まります。
買取は、業者が直接買い取ります。買い手を探す必要がないので、その場で終わります。価格は仲介で売れた場合より下がりますが、売れない物件にとっては比較対象が「売れない」なので、実質的な損は出ません。
| 一括査定 | 買取 | |
|---|---|---|
| 相手 | 個人の買い手 | 買取業者 |
| 期間 | 数か月〜売れるまで | 数日〜数週間 |
| 価格 | 相場に近い | 相場より下がる |
| 売れない物件 | 止まる | 引き取れる場合がある |
別荘が売れない原因は、値段ではないことが多い
5点を確かめると、止まっている場所が見えてきます。
| 止まっている場所 | 買い手から見た問題 | 値下げで解決するか |
|---|---|---|
| 境界が未確定 | 測量費40万円を誰が出すのか決まらない | しない |
| 私道で持分が無い | 建て替えと水道工事に承諾が要る | しない |
| 井戸・浄化槽 | 住宅ローンが使えないことがある | しない |
| 管理費の滞納 | 引き渡し時に精算が必要 | しない |
| 再建築不可 | 建て直せない。ローンも原則使えない | しない |
| 建物が傷んでいる | 修繕費が読めない | 一部する |
| エリアの人気がない | そもそも買いたい人が少ない | 一部する |
上の5つは、値段では動きません。
そして下の2つも、買いたい人がいない場所では、価格を下げても買いたい人は現れてくれません。
値下げが効くのは、買いたい人が複数いて、その中で比べられているときだけです。
問い合わせが1件も来ていないなら、そもそも他の物件と比べてもらえていません。
売れない別荘の処分方法を、費用が安い順に並べると
5点を確かめたうえで、処分の方法を出ていく費用の少ない順に並べます。
| 順 | 方法 | こちらの持ち出し | 終わるまで |
|---|---|---|---|
| 1 | 買取業者に引き取ってもらう | 0円(仲介手数料も測量も不要) | 1〜3か月 |
| 2 | 知人・隣地の所有者へ無償譲渡 | 登記費用の分担分 | 相手しだい |
| 3 | 仲介で売る | 仲介手数料+測量費 | 4か月〜1年 |
| 4 | 解体してから土地を売る | 解体費+滅失登記 | 解体後さらに買い手待ち |
| 5 | 相続土地国庫帰属制度 | 解体費+審査手数料+負担金 | 申請から半年以上 |
注目してほしいのは、いちばん持ち出しが少ないのが買取だという点です。
仲介より提示額は下がりますが、仲介手数料も測量費もかかりません。
そして4番目と5番目は、先に解体費を出すことになります。
売れない別荘で解体を先にすると、更地でも買い手が現れなかったときに、解体費だけが戻らずに残ります。
売れない別荘を放置するといくらかかるか?
処分を決めきれず、そのままにしておくとどうなるか?
出ていくのは管理費・固定資産税・水道の基本料金・火災保険料です。
別荘地の管理費は、同じ地域の中でも10倍以上の開きがあります。
那須で複数の分譲地を扱う管理会社が、9つの分譲地の管理費を公開しています。
そこでは年6千円のところから、土地と建物を合わせて15万円を超えるところまで並んでいます。
そこに固定資産税が乗ります。別荘の土地には住宅用地の特例が使えないので、同じ評価額の自宅より土地の税額は高くなります。
売れない別荘に、行政の指導は来るのか?
放置していれば行政が動いて、いずれ何とかしてくれる。そう考える方もいます。
ところが別荘は、空き家として扱われないことが多いのです。
空家法の基本指針では、空家等に当たるかどうかの目安について、「概ね年間を通して建築物等の使用実績がないこと」が1つの基準になるとされています。
年に数回でも使っている別荘は、この基準に当てはまりません。
さらに、勧告を受けた空き家は住宅用地の特例が外れて固定資産税が上がる仕組みがありますが、別荘用地にはもともとこの特例が使えません。
つまり行政が動く仕組みも、税負担で追い込まれる仕組みも、別荘には効きにくいということです。
誰も止めてくれないので、自分で日付を決めるしかありません。



放っておいても誰も困らないから、後回しにしていました



困らないというより、誰も声をかけてこないんですよね。私もそれで3年が過ぎました。



その3年で何か変わりましたか?



管理費と税金が3年分出ていって、建物はその分だけ古くなりました。それだけです。
売れない別荘地の処分は、建物付きより難しくなります
手元にあるのが土地だけ、というケースです。
買い手の層が一段狭くなるので、動きはさらに鈍くなります。
理由は買い手の数にあります。
- 建物付きなら「別荘が欲しい人」が買い手になる
- 更地だと「これから別荘を建てたい人」しか買い手にならない
- そのうえ再建築ができない土地なら、建てたい人も買えない
建物を解体しても、管理費がゼロになるわけではありません。
別荘地の管理費は土地の分と建物・水道の分に分かれていて、土地の分は建物が無くてもかかり続けます。
道路の維持や除雪、ごみの集積所の管理は、区画を持っている限り必要になるからです。
値の付かない山林や原野をまとめて仕入れる会社が、実際にあります。
何年も反応が無かった区画でも、買取なら引き渡しの日を決めて終われます。
ここから先は、実際に手放すための窓口です。査定や相談は無料で、申し込んだからといって売らなければならない義務はありません。金額を見てから決めて問題ありません。
ただし、物件の場所・面積・管理費の滞納の有無は、最初に正確に伝えてください。後から出てくると話が止まります。
まとめ 売れない別荘の処分は、値下げより先にやることがあります
売れない別荘を値下げしても、たいていは動きません。
買いたい人は値段を見る前に、境界・道路・上下水道・管理費の滞納・再建築の可否で引き返しています。
この5点は、法務局で600円、市町村の建築指導課と管理会社に電話1本で、自分で確かめられます。
確かめた結果、直せるものが1つも無いなら、仲介で待っても結果は変わりません。
そして放置しても、別荘には行政が動く仕組みが効きにくいので、誰も声をかけてはくれません。
管理費と固定資産税が出ていき、建物が古くなっていくだけです。
値下げをもう一度する前に、この5点を確かめて、そのうえで建物付きのままいくらで引き取ってもらえるのかを聞いてみてください。
手放す方法ごとの手取りは 別荘を処分する方法は4つ。選び方で手取りが100万円変わります、管理費と固定資産税の実額は 別荘を手放す理由で一番多いのは何か?持ち続けた人の後悔も書きます に書いています。





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