親が入っていたリゾート会員権を引き継いだ。あるいは自分で入ったが、もう10年以上使っていない。
退会したいと連絡したのに、話が前に進まない。
そのあいだも年会費の請求だけは、毎年きちんと届く。
会員権は、部屋を持っているのとは仕組みが違います。
同じ「リゾートマンション」という言葉で語られていても、権利の中身が違うので、手放し方も変わります。
この記事では、まず会員権と区分所有の違いをはっきりさせます。
そのうえで、実際に退会でもめた事例を、国民生活センターの資料から金額つきで見ていきます。
相談者父が昭和の終わりに入ったリゾート会員権を引き継ぎました。使わないので退会したいのですが…



契約書は手元にありますか? 保証金の証書と、土地建物の持分の書類があるはずです。



保証金の証書は見つかりました。持分というのは何でしょうか?



そこが大事なところです。会員権と一緒に不動産の共有持分を買っている型があるんです。
管理費と修繕積立金は、売れるまで止まりません
リゾートマンションは、買う側が毎月の負担を見て決めます。部屋の値段を下げても、月々の管理費と修繕積立金は変わりません。だから値下げしても動かないことがよくあります。
買取なら業者が直接買うので、買い手を探す必要がありません。旧耐震でも、温泉付きで管理費が高くても、査定は出ます。金額を見てから決めて構いません。
リゾートマンションの会員権と区分所有の違い
まず、言葉の整理からです。
| 区分所有(リゾートマンション) | 共有制の会員権 | |
|---|---|---|
| 持っているもの | 特定の部屋の所有権 | 施設の共有持分と、利用する権利 |
| 登記 | 自分の名義で部屋を登記 | 共有持分として登記されることがある |
| 使い方 | 自分の部屋をいつでも使える | 予約して空いている部屋を使う |
| 毎月・毎年払うもの | 管理費と修繕積立金 | 年会費 |
| 入るときに払うもの | 購入価格 | 持分の代金、入会金、保証金 |
| 手放し方 | 部屋を売る | 退会するか、会員権を譲渡する |
| 相手 | 買いたい人 | 運営会社の承認が要ることが多い |
いちばん大きな違いは、自分だけで決められるかどうかです。
区分所有の部屋なら、買い手さえ見つかれば売れます。
会員権は、運営会社が定めた規約の中でしか動けません。
そして保証金という、預けたお金が絡んできます。
この保証金が、退会の話をややこしくします。
リゾートマンションの会員権の売却が断られる条件


実際に何が起きるのか? 国民生活センターに、退会をめぐる紛争の事例が公表されています。
和解の仲介(ADR)の記録なので、双方の言い分と結果まで載っています。
事案の中身はこうです。
| 時期 | 起きたこと | 金額 |
|---|---|---|
| 昭和60年10月 | 会員システムに入会。施設の土地建物の持分を購入 | 1,700,000円 |
| 同時 | 運営会社と相互利用契約を結び、入会金と保証金を支払う | 入会金300,000円/保証金500,000円 |
| 平成7年11月 | 保証金の証書が届く。発行日から15年据置と記載 | |
| 令和元年7月 | 退会を申し出る | |
| 同月末 | 退会を伝えたのに、次年度分の年会費の請求と利用券が届く | |
| 令和2年8月 | さらに2年分の年会費の請求が届く |
退会を伝えてから和解までに、1年以上かかっています。
そのあいだも年会費の請求は届き続けました。
運営会社が示した案は、次の2つでした。
- 申請人が自分で売却先を探す
- 運営会社のグループ会社が買い取る(移転登記費用などの事務手数料は会員が負担)
つまり会員権は自由に市場で売れるものではないということです。
そして保証金の返還についても、運営会社はこう主張しました。
利用契約満了による会員の多額の保証金返還債務は、台風被害による想定外の復旧費用、コロナ禍による売り上げの大幅な減少などの事情から、一括返済できる経営環境にない。
最終的には和解が成立しましたが、内容はこうでした。
- 保証金50万円から登記費用を差し引いた金額を、翌年4月末までに3回の分割で返金する
- 施設の共有持分は、会員がグループ会社へ無償で譲渡する
- 登記が終わるまでの固定資産税は会員が負担する
170万円で買った持分は、無償で手放しています。
戻ってきたのは、保証金50万円から登記費用を引いた金額を3回に分けたものです。
これが、会員権を手放すときに実際に起きたことです。
使っていなくても管理費は止まりません
別荘地の管理費も、リゾートマンションの管理費・修繕積立金も、所有している限り発生します。使っていないから払わない、という理屈は通りません。管理組合や管理会社は所有者に対して請求する権利を持っていて、滞納が続けば法的手続きに進みます。
そして区分所有法により、滞納された管理費は次の買主が引き継ぎます。だから滞納があると買い手はさらに見つかりにくくなり、滞納が増える。この循環に入ると、時間が経つほど手放しにくくなります。
リゾートマンションの会員権を手放す3つの方法
取れる手は3つです。どれも、まず契約書を読むところから始まります。
1. 運営会社に退会を申し出る
規約に退会の定めがあれば、そこに沿って進めます。
確認するのは次の点です。
- 退会の申し出はいつまでに、どういう方法でするのか
- 保証金の返還条件と、据置期間が何年か
- 据置期間の起算日はいつか(証書の発行日からのことがある)
- 退会したあと、年会費はいつまで発生するのか
- 持分の登記を移す費用は誰が負担するのか
先ほどの事例では、保証金の証書に発行日から15年据置と書かれていました。
入会した日ではなく、証書の発行日が起点になっている点に注意してください。
2. 会員権の売買を扱う業者に相談する
ゴルフ会員権と同じように、リゾート会員権を扱う業者があります。
ただし、買い取れる会員権は限られます。
| 条件 | 扱ってもらいやすい | 断られやすい |
|---|---|---|
| 運営会社 | 経営が安定している | 経営が厳しい、または解散している |
| 施設 | 現在も営業している | 休館している |
| 年会費 | 相場の範囲 | 高すぎる |
| 名義書換 | 規約で認められている | 運営会社の承認が下りない |
| 未納 | 年会費の滞納なし | 滞納がある |
右側に当てはまるものが多いと、値が付かないだけでなく、扱ってもらえません。
そして名義書換には運営会社の承認が要ることが多く、買い手が見つかっても承認が下りなければ成立しません。
3. 共有持分がある場合は、不動産としての出し方も考える
会員権に不動産の共有持分が付いている型なら、そこは不動産です。
先ほどの事例でも、施設の土地建物の持分を170万円で購入していました。
共有持分は、原則として自分の持分だけを売ることができます。
ただしリゾート施設の共有持分は、次の理由で買い手がほとんどいません。
- 持分だけ買っても、施設を自由に使えるわけではない
- 利用権は会員契約に紐づいていて、持分とセットでないと意味がない
- 運営会社の承認なしに会員としての地位を移せない
だから事例でも、無償譲渡という形で決着しています。
持分の帳簿上の金額に期待しないでください。



170万円払った持分が、無償譲渡になるのですか?



利用権と切り離すと使い道が無いので、単独では値が付きにくいんです。



では、払ったお金は戻らないと



戻るのは保証金の部分だけ、と考えておくほうが現実的です。それも据置期間を過ぎてからになります。
一括査定と買取は、別のものです
一括査定は、複数の不動産会社に「いくらで売れそうか」を出してもらう仕組みです。売るのは買い手が見つかってからなので、買い手がつかなければいつまでも売れません。別荘や別荘地は、この「買い手がつかない」で止まります。
買取は、業者が直接買い取ります。買い手を探す必要がないので、その場で終わります。価格は仲介で売れた場合より下がりますが、売れない物件にとっては比較対象が「売れない」なので、実質的な損は出ません。
| 一括査定 | 買取 | |
|---|---|---|
| 相手 | 個人の買い手 | 買取業者 |
| 期間 | 数か月〜売れるまで | 数日〜数週間 |
| 価格 | 相場に近い | 相場より下がる |
| 売れない物件 | 止まる | 引き取れる場合がある |
会員権を手放せないまま年会費が続く場合


いちばん困るのが、退会を申し出ても話が進まないまま年会費だけ請求される状態です。
事例でも、退会を伝えたあとに次年度分の請求と利用券が届き、翌年にはさらに2年分の請求が来ています。
この状態が続くと、金額は積み上がります。
できることは3つです。
- 退会の意思を書面で残す。配達証明付きの内容証明郵便が確実
- 契約書と保証金の証書、これまでのやりとりを日付順に整理する
- 話が進まなければ、消費生活センターに相談する
3番目について補足します。
先ほどの事例は、国民生活センターの紛争解決委員会による和解の仲介の手続で決着したものです。
裁判ではなく、当事者の話し合いを仲介委員が取り持つ仕組みです。
相談先は、消費者ホットライン188から地元の消費生活センターにつながります。
ひとりで交渉が止まっているなら、ここを使ってください。
なお、相続で引き継いだ会員権の場合は、相続放棄の期限とも関係します。
会員権に年会費という負担が付いている以上、相続財産の全体を見て判断する場面になります。
ここから先は、実際に手放すための窓口です。査定や相談は無料で、申し込んだからといって売らなければならない義務はありません。金額を見てから決めて問題ありません。
ただし、物件の場所・面積・管理費の滞納の有無は、最初に正確に伝えてください。後から出てくると話が止まります。
毎月の支払いを止める日を決められます
仲介で売れた場合より価格は下がります。ただし比べる相手が「売れない」なら、下がった分は損失ではありません。待っているあいだも管理費と修繕積立金は毎月出ていきます。
査定は無料で、申し込んだから売らなければならない義務もありません。管理費の滞納がある場合は、金額を最初に正確に伝えてください。
まとめ リゾートマンションの会員権売却は、契約書の確認から始まります
会員権は、部屋を持つ区分所有とは別の仕組みです。
共有持分と利用権と保証金が組み合わさっていて、しかも名義を移すには運営会社の承認が要ることが多くなっています。
だから買い手を見つけるより先に、契約書と保証金の証書を読むことになります。
確かめるのは、退会の方法、保証金の返還条件、据置期間の起点、年会費がいつまで発生するのか、登記費用は誰が負担するのかの5つです。
国民生活センターに公表されている事例では、170万円で買った持分を無償で譲渡し、保証金50万円から登記費用を引いた額が3回の分割で戻りました。
退会を申し出てから決着まで1年以上かかり、そのあいだも年会費の請求は届いています。
だから退会の意思は、早い段階で書面に残してください。
そして話が止まったら、ひとりで抱えずに消費生活センターに相談してください。
部屋そのものを所有している場合の手順は リゾートマンションが売却できない。管理費だけ残る前に読んでください、相続で引き継いだ場合の期限は リゾートマンションの相続放棄は間に合うのか?3か月の期限の数え方 に書いています。






コメント