越後湯沢や熱海のリゾートマンションを持っていて、売りに出しても動かない。
そのうち「10万円でもいいので」と言われ、それでも決まらない。
売却価格の問題ではありません。
リゾートマンションは、買った人がその後ずっと払い続けるお金が大きい不動産です。
だから買う側は、部屋の値段ではなく建物全体の状態を見ています。
この記事では、売却できない原因を4つに分けて、それぞれ手が打てるかどうかを書きます。
そのうえで、滞納分が誰の負担になるのか、そして0円で売られている部屋が何なのかを、法律の条文と国の調査から確かめます。
相談者熱海のリゾートマンションを相続したのですが、1年出しても内見が1件もありません



管理費と修繕積立金は、月にいくらでしょうか?



合わせて4万円ほどです。使っていないのに毎月出ていきます



買う側も同じ金額を払うことになりますからね。そこが決まらない理由になっていることが多いです。
管理費と修繕積立金は、売れるまで止まりません
リゾートマンションは、買う側が毎月の負担を見て決めます。部屋の値段を下げても、月々の管理費と修繕積立金は変わりません。だから値下げしても動かないことがよくあります。
買取なら業者が直接買うので、買い手を探す必要がありません。旧耐震でも、温泉付きで管理費が高くても、査定は出ます。金額を見てから決めて構いません。
リゾートマンションが売却できない4つの類型
原因は次の4つに分かれます。手が打てるものと、打てないものがあります。
| 類型 | 何が起きているか | こちらで手が打てるか |
|---|---|---|
| 管理費・修繕積立金の滞納 | 買った人が滞納分を引き継ぐ決まりになっている | 打てる |
| 旧耐震で住宅ローンが通らない | 現金で買える人しか買い手にならない | 打てない |
| 管理組合が機能していない | 修繕の計画も決議もできず、建物が傷み続ける | ほぼ打てない |
| そもそも需要がない | そのエリアで買いたい人が減り続けている | 打てない |
自分で直せるのは1番目だけです。
そして残りの3つに当てはまる場合、価格を下げても買い手は現れません。
順番に見ていきます。
管理費・修繕積立金の滞納がある
いちばん多く、そしていちばん直しやすいのがこれです。
国土交通省の令和5年度マンション総合調査では、管理費・修繕積立金を3か月以上滞納している住戸があるマンションが30.1%でした。
築年数が古いマンションほど、この割合は高くなる傾向があります。
管理組合が抱えているトラブルの内容でも、「管理費等の滞納」が20.2%を占めています。
つまりリゾートマンションに限らず、滞納は3軒に1軒の建物で起きています。
問題は、自分の部屋の滞納が、売るときに買い手の負担として見られることです。
これは次の見出しで詳しく書きます。
旧耐震で住宅ローンが通らない
1981年5月31日までの建築確認で建てられた建物は、旧耐震基準です。
金融機関によっては、旧耐震のマンションに住宅ローンを出しません。
そうなると現金で買える人だけが買い手になり、母数が一気に小さくなります。
同じ調査では、旧耐震基準で建てられたマンションのうち、耐震診断を行ったのは31.6%でした。
さらにそのうち「耐震性がある」と判断されたのは17.1%です。
「耐震性がない」と判断されたマンションのうち、耐震改修を実施したのは45.8%、実施する予定がないと答えたのが25.0%でした。
バブル期のリゾートマンションは1980年代後半から1990年代前半の建物が多いので、新耐震に当たることが多いのですが、それより古い物件では必ず建築確認の日付を確かめてください。
管理組合に聞けば分かります。
管理組合が機能していない


これがいちばん重い問題です。
リゾートマンションは所有者が全国に散らばっていて、しかも普段そこに住んでいません。
総会に出席する人が少なく、決議に必要な数が集まらないことがあります。
大規模修繕の決議ができないと、建物は傷んだまま年数だけが過ぎます。
同じ調査では、所在不明・連絡先不通の住戸が無いマンションが87.7%でした。
裏を返すと、1割強のマンションでは連絡の取れない所有者がいるということです。
この状態のマンションは、買う側から見ると将来の見通しが立ちません。
そもそも需要がない
最後が、そのエリアで買いたい人が減っているという話です。
バブル期のリゾートマンションは、値上がりを見込んで買われたものが多くあります。
いま買う人は「使うために買う」ので、
- 東京から2時間以内で行けるか
- 駅から歩けるか。冬に車で行けるか
- 温泉やスキー場が今も営業しているか
- 管理費と修繕積立金がいくらか
この4つで判断します。値段はそのあとです。
ここが弱いエリアでは、0円にしても引き取り手が現れないことがあります。
使っていなくても管理費は止まりません
別荘地の管理費も、リゾートマンションの管理費・修繕積立金も、所有している限り発生します。使っていないから払わない、という理屈は通りません。管理組合や管理会社は所有者に対して請求する権利を持っていて、滞納が続けば法的手続きに進みます。
そして区分所有法により、滞納された管理費は次の買主が引き継ぎます。だから滞納があると買い手はさらに見つかりにくくなり、滞納が増える。この循環に入ると、時間が経つほど手放しにくくなります。
リゾートマンションの滞納した管理費は、次の買主が引き継ぎます
ここが、リゾートマンションが売れない最大の理由になっていることがあります。
建物の区分所有等に関する法律には、管理費などの債権を、区分所有者の特定承継人に対しても行使できると定められています。
特定承継人とは、その部屋を買った人のことです。
つまり滞納したまま部屋を売っても、管理組合は次の持ち主に滞納分を請求できます。
だから買う側は、契約の前に必ず滞納の有無を確認します。
重要事項説明でも、管理費等の滞納額は説明すべき事項として扱われています。隠して売ることはできません。
そして滞納があれば、その分を値引きするか、引き渡しまでに精算するよう求めます。
| 滞納の状態 | 買い手から見た扱い |
|---|---|
| 滞納なし | そのまま検討できる |
| 数か月分 | 引き渡しまでに精算してもらう |
| 1年以上 | 売却価格から差し引く交渉になる |
| 数年分 | そもそも検討の対象から外れる |
月4万円のマンションで3年滞納していれば、144万円です。
100万円で売り出している部屋に144万円の負担が付いていたら、誰も買いません。
滞納がある場合、値下げより先に精算の計画を立ててください。
管理組合に相談すれば、分割で受けてもらえることもあります。
そして精算の見込みが立った時点で、はじめて売却の話が動きはじめます。



滞納したまま売れば、あとは買った人の問題になると思っていました



逆ですね。買う人がそれを知っているので、そもそも契約まで進みません。



仲介の担当者からは何も言われませんでした



重要事項説明で必ず出てきますよ。早い段階で管理組合に残高を聞いておきましょう。
一括査定と買取は、別のものです
一括査定は、複数の不動産会社に「いくらで売れそうか」を出してもらう仕組みです。売るのは買い手が見つかってからなので、買い手がつかなければいつまでも売れません。別荘や別荘地は、この「買い手がつかない」で止まります。
買取は、業者が直接買い取ります。買い手を探す必要がないので、その場で終わります。価格は仲介で売れた場合より下がりますが、売れない物件にとっては比較対象が「売れない」なので、実質的な損は出ません。
| 一括査定 | 買取 | |
|---|---|---|
| 相手 | 個人の買い手 | 買取業者 |
| 期間 | 数か月〜売れるまで | 数日〜数週間 |
| 価格 | 相場に近い | 相場より下がる |
| 売れない物件 | 止まる | 引き取れる場合がある |
リゾートマンションが売却できないまま残る費用


売れないまま持ち続けると、毎月出ていくものがあります。
- 管理費
- 修繕積立金
- 温泉利用料(温泉付きの物件)
- 駐車場代
- 固定資産税・都市計画税(年1回)
リゾートマンションの管理費が高いのには理由があります。
- 温泉の設備を維持している(源泉の管理、配管の洗浄、加温にかかる燃料費)
- 大浴場・プール・ラウンジなど共用施設が多い
- フロントに人を置いている物件がある
- 雪国では除雪の費用がかかる
- 空室が多いと、1戸あたりの負担が重くなる
特に効いてくるのが5番目です。
建物全体でかかる費用は変わらないので、払う人が減ると、残った人の負担が増えます。
負担が重くなれば買い手はさらに減り、空室はもう一段増えます。
月4万円のマンションなら年48万円、10年で480万円です。
100万円で売れないと悩んでいる間に、その5倍近い金額が出ていく計算になります。
売却できないリゾートマンションに残っている手
4つの類型のうち、どれに当たるかで打つ手が変わります。
| 状況 | やること |
|---|---|
| 滞納がある | 管理組合に残高を聞き、精算の計画を立ててから売りに出す |
| 滞納なし。管理は正常 | 仲介で待つ価値がある。ただし価格は市場に合わせる |
| 旧耐震・ローンが通らない | 現金客を持つ買取業者に相談する |
| 管理組合が機能していない | 早く手放す。時間が経つほど条件は悪くなる |
| 需要が無いエリア | 買取か、引き取りサービスを探す |
共通して言えるのは、リゾートマンションは待っても条件が良くならないということです。
別荘と違って、建物の状態を自分で管理できません。
管理組合が決められなければ、自分だけが修繕することもできません。
そして毎月の管理費は、待っている間ずっと出ていきます。
0円で売られているリゾートマンションの正体
インターネットで「リゾートマンション 0円」と検索すると、実際に物件が出てきます。
あれは冗談ではなく、売主がお金を払わずに手放したい状態を表しています。
0円で出ている部屋には、たいてい次のどれかが当てはまります。
- 管理費と修繕積立金の合計が、月3万円を超えている
- 滞納が積み上がっている
- 管理組合の修繕積立金が不足していて、一時金の徴収が決まっている
- エレベーターや給湯設備の更新時期が来ている
- 冬期のアクセスが悪く、実際には使いにくい
つまり0円は値段ではなく、毎月の負担を引き受けてくれる人を探しているという意味です。
だから0円でも決まらないことがあります。
自分の物件が0円でしか出せない状態なのかどうかは、次の式で確かめられます。
月々の負担 × 12 × 10年 と、いま付いている売却価格を比べてください。
月4万円なら10年で480万円です。
売却価格がこれを大きく下回るなら、買う側は「もらっても損」だと判断します。
その場合、値下げではなく、引き取ってくれる相手を探す話に切り替えてください。
ここから先は、実際に手放すための窓口です。査定や相談は無料で、申し込んだからといって売らなければならない義務はありません。金額を見てから決めて問題ありません。
ただし、物件の場所・面積・管理費の滞納の有無は、最初に正確に伝えてください。後から出てくると話が止まります。
毎月の支払いを止める日を決められます
仲介で売れた場合より価格は下がります。ただし比べる相手が「売れない」なら、下がった分は損失ではありません。待っているあいだも管理費と修繕積立金は毎月出ていきます。
査定は無料で、申し込んだから売らなければならない義務もありません。管理費の滞納がある場合は、金額を最初に正確に伝えてください。
まとめ リゾートマンションが売却できない原因は、部屋ではなく建物にあります
リゾートマンションが売れないのは、部屋の値段が高いからではありません。
買う人が見ているのは、買ったあとに毎月いくら払うのか、そして建物がこの先どうなるのかです。
原因は滞納・旧耐震・管理不全・需要ゼロの4つで、自分で直せるのは滞納だけです。
滞納は次の買主にも請求できると法律で定められているので、残したまま売ろうとしても契約まで進みません。
まず管理組合に残高を聞いて、精算の計画を立ててください。そこからしか動きません。
そして残りの3つに当てはまるなら、待っても条件は良くなりません。
月4万円の負担なら、10年で480万円です。値下げ幅より、待つ金額のほうがはるかに大きくなります。
管理費を払い続けた場合の累計の出し方は 別荘が売れないまま管理費を払い続けると、総額はいくらになるのか?、仲介と買取の手取りの違いは 別荘の買取業者は、売れない物件をいくらで引き取ってくれるのか? に書いています。






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